「裕紀は今日も眠そうだな。」
「昨日バイトだったからな。」

俺の机に乗ってきた長身の男は、親友の中谷凛《ナカタニ リン》。アメリカ人とのハーフで、イケメンと言われる顔立ちの持ち主だ。

「なぁ、裕紀。」

俺と目線を合わさず凛は廊下側を向いている。

「何だよ。」
「あの一番後ろの黒髪サラサラロングヘアーの本読んでる女の子は誰だと思う?」

目線を向ける。
凛が言った通りの見たことのない女が、静かに本を読んでいた。