「――という訳なの おじい様が入院しなければ紫苑さんは行かなかったからすごい偶然だったの」



莉緒は話すと満足げに言った。



「カイトさんの決断が遅いから花音ちゃん可哀想だったんだからね?」



「莉緒さん・・・」



花音が困った顔をした。





「いらっしゃい、2人とも来ていたんだ」


ビジネススーツ姿の紫苑がリビングに姿を見せた。


仕事から戻ってきた所だ。


「お帰りなさい 紫苑さん」


莉緒は紫苑の傍に行った。



「お帰りなさい 紫苑さん、早く座ってもらえますか?紫苑さんのおかげで莉緒ちゃんに責められっぱなしなんだ」


「カイトの決断が遅いって?」


紫苑がからかうとカイトは「はぁ~」とうなだれた。


「カイトさん、気にしないで下さい!」


カイトの腕に手を置き花音が真面目な顔をして言う。


その言い方がおかしかったのかその場にいたみんなが笑う。


その日は遅くまで笑いが絶えなかった。

   
         本当のEND