「だって、ちっとも乾杯じゃない 今のカイトさん不幸せそうに見えるから」



「莉緒ちゃん・・・」



莉緒はワイングラスの中身を一気に飲み干すとグラスをテーブルに置く。



「どうして花音ちゃんを迎えに行かないの?」



「莉緒ちゃんは小夜子の友達で申し訳なく思っている事は十分わかっている でもすべては俺のせいだから莉緒ちゃんは気にしなくて良いんだ」



カイトもグラスの中身を空ける。


そしてもう一度ワインを注ぐ。


「だってっ!」


「きっと花音ちゃんはフランスで新しい生活を楽しんでいるよ」


――活発な子だったからね。


花音の笑顔が脳裏をよぎり手にしていたワイングラスに力が入りもう少しで割りそうになった。