「ちょっと寒かったけどね」


笑うカイトに花音は小首を傾げる。



「だったら中で飲めばいいのに」



柵越しに話していると周りの女性たちの視線を感じた。



この容姿だからね・・・・。


清潔感のある黒髪は誰かが手を入れたみたいにくしゃっと個々にウェーブを描いている。



「中で飲んでいたら花音ちゃんを見逃してしまうだろ?」


「えっ?」


聞き間違いかと思った。



「待っていたんだ 君の事」



ストレートに言われて花音は悪い気はしない。



今日一日中、カイトの事が気になっていたのだから。