「小夜ちゃん、話して?何でも聞くよ?」


莉緒が真剣な顔をして小夜子を見る。



「莉緒・・・あ、あのね・・・」


小夜子は口ごもった。



――話を聞いてもらおうとしたのに言い出せない。



話してからの莉緒の反応が怖い。



その時、温室のドアがノックされた。



「どうぞ」


莉緒が返事をすると、牧原がコーヒーとケーキを持って入って来た。



「お待たせいたしました」


牧原はテーブルに置くと深々と頭を下げて出て行った。