「はい、雫。これ。」 それは『バレンタインのチョコレシピ』と書かれた、レシピ本だった。 「これね、お姉ちゃんが何年か前に、好きな男の子に作るために買ったのよ。」 「へぇ~。」 あのお姉ちゃんが、ね。 「いろいろ載ってるし、この本から探したら?」 「そ、そーだね。」 表紙を見ただけで、ほっぺが落ちそうだ。 チョコ好きな私にとってみれば、こんな本をずっと見てるなんて、自殺行為だ。