「なぁ」
「うん?」
いつものように
集まっていたら
昔から一緒にいた
崇(たかし)が
いきなり立ち上がって
みんなの方を見た
「なんだよ崇、あらたまって」
聖が軽く笑いながら
崇に質問すると
崇はみけにしわをよせて
一回目を潰り
深く深呼吸をして
一言言った
「俺、もうみんなに会えねぇから…」
冷たい空気が流れた。
崇は自分のことを
あまり話さず
聞き上手だった
だからみんな
悩んだりしたら
崇に聞いてもらっていた
「は?」
聖も状況が
つかめていないようだ
「俺さ…俺んちさ親父いなくて母親だけなんだわ。でもこないだ母親過労で倒れちまってもう心配かけたくねぇから…。本当ごめん」
しばらく誰も
話そうとしなかった。
崇も下を向いたまま
何言わなかった
