転んだら死神が微笑んだ

男の人「だよね…。制服が同じだもん。」

わたしが、つらい表情をしているからなのか、不審な表情をしているからなのかはわからないけれど、その男の人は話を続けた。

男の人「何かあった?」

なかなか、『何があった』のか言えなかった。

言いたくないことだし、きっとこの人はあの子と関係のある人だから、たぶん言ったら怒られるんじゃないかっていう卑怯な考えもしていた。

男の人「あっ…オレ、アイツの兄貴。大丈夫。アヤしい人じゃないから。」

この人はわたしのことを気遣かってくれていた。自分が誰であるのかを明かし、わたしを安心させようとしていた。

あかり「お兄さん…。」

わたしは、この人があの子のお兄さんであることに驚いて、ついしゃべってしまった。