転んだら死神が微笑んだ

女将さん「はぁー。まさか、あの男がいるとはねぇ。」

席に座るなり、女将さんは大きくため息をついた。

店員「あの…、ご注文のほうはケーキバイキングでよろしいでしょうか？」

女将さん「あ、あぁ！それで結構よ。」

あかり「はい。お願いします。」

店員「それでは、あちらに見えるテーブルにございますのでどうぞご自由に。飲み物もございますので。」

店員さんが手を指す方向には、いやでもあの男の人が見える。

あの人は、ケーキのあるテーブルの前に陣取っていた。

女将さん「さ、あかりちゃん。取りに行きましょ。」

気にしないそぶりを見せ、つかつかと歩いて行く。



女将さん「まぁ、いろんなケーキがあるのねぇ〜。」

ケーキを選んでいる中、女将さんはずっと嬉しそうに皿に乗せていて、男の人はひたすら口に運んでいた。

わたしは好みのケーキを選びながらも、ただただ気まずいオーラを感じていた。