転んだら死神が微笑んだ

それから翌日、このことは報道され、ニュースで大きく取り扱われた。

もちろん、その時の事故が報道されたわけなんだけど、本当はそんなことはどうでもいいことで、お母さんの知らない部分のニュースがそのまま続けられた。

ニュースキャスターによると、事故車両のひとつにバイオテクノロジー研究所の搬送車があり、ウイルスを運んでいたという。

そのウイルスは生物の体内に入ると、侵食をはじめ死にいたるという説明をVTRとともにはじめた。

そして、そのウイルスが事故による容器の破損で周囲に散布し、そこにいた人間に感染した可能性が高いという発表をした。

その時ケガで運ばれた人たち全員の感染が、搬送先の病院で確認された。


最後にキャスターはこのように続けた。

ウイルスは単独での生命維持は難しく、一定時間空気に触れると自然消滅すること。

一度感染すると、その人間を媒体として活動するが、二次感染は起こらないということ。


そして、その時事故現場に居合わせた人たちに、すぐに近くの病院で検査を受けて欲しいと訴えていた。