転んだら死神が微笑んだ

お母さんは、ある事故で命を落とした。

おじいちゃんたちの家からわたしたちの家に帰るために、タクシーに乗って帰っていた。

その途中、道で衝突事故が起きた。

お母さんはべつにこの事故に巻き込まれて、重症を負いなくなったわけではない。

前方でその事故は起こっていて、道がふさがれていた。

多くの人が警察や救急車が到着するまで、救助や車をどかす作業を手伝っていた。

お母さんもその作業に参加した。

タクシーから降り、救助される人たちに一生懸命声をかけていた。

そう、ただそれだけだったはずなのに。


しばらくして、パトカーと救急車が到着し、けが人は運び出され、警察官の交通整理でその場は沈静した…はずだった。

お母さんは、タクシーに戻り、家に帰ってきた。

その時の出来事を大変そうに語っている様子を今でも覚えている。