転んだら死神が微笑んだ

ある程度の塩をはたくと、その女の人の怒鳴り声が近くで鳴り響いた。

女の人「なんてことですかっ!!」

太った男「ひ、ひぃい。」

女の人「こんな、女の子を盾に使うなんて、あまりにも卑怯です!」

太った男「ご、誤解です〜。僕はそんなことはしていませ〜ん。」

女の人「おだまりっ!さっさとこの場から立ち去りなさいっ!早く!」

太った男「ぬ、濡れ衣だー!」

女の人「はやくっ!!」

女の人から追い立てられた男の人は、かばんを拾いそそくさとその場を走って逃げていった。

男の人が走っていくのを見送ると、女の人はさっきまでの大きな声から、一変してていねいな対応をとった。

女の人「ごめんなさい。本当にごめんなさい。あの男、本当ダメな人間だこと。」

あかり「いや、わたしは、たまたま通っただけで。それで覗いてみただけなんです。」

女の人「そうなの?でも、よかったわ〜。もうちょっとで、お水を持ってくるところだったから。濡れなくて、本当によかった。」

よ、よかった〜。もうちょっとで、びしょびしょになるところだったよ。

まだ、ショッピング・モールにも行ってないっていうのに、こっから引き返すのはないよ〜。