転んだら死神が微笑んだ

おばあちゃん「あかりちゃんにはジュースがあるからね。おばあちゃんと一緒に飲もう。」

あかり「ありがとう。」

わたしがにこっと笑うと、おばあちゃんが驚いたような顔をした。

おばあちゃん「す、すぐに持ってくるからね。」

おばあちゃんは、小走りで台所の方へかけていった。

おじいちゃん「あかり…。お前いくつになった?」

あかり「14だよ。中学二年生。」

おじいちゃん「そうか…。はは…、ずいぶんと見ない間に成長したもんだな。」

あかり「何言ってるの?新年のあいさつにも来たよ。」

おじいちゃん「ああ、そうだったな。おじいちゃん、すっかりボケが入ったかな?ハハハ…。」

おじいちゃんが笑っている。

でもそれはどこかおかしくて笑っているわけではない。

単なる苦笑いだ。

でも、何でだろう?

前にもおじいちゃんが笑っているところを、見たことがある気がする。

その時は、とても笑顔だった。


そう、あれはわたしがまだ小さかったころ。

おじいちゃんもおばあちゃんも、お父さんも、そして…お母さんも、みんな笑ってわたしのことを見ている。

そんな、なんか楽しかった光景、すっかり忘れていた。

おじいちゃんが笑っているところ、久しぶりに見た。