転んだら死神が微笑んだ

家の前の表札には『高村』と書かれている。

お父さんが、チャイムを押す。

「は〜い。」

家の中から声がして、しばらくすると玄関の扉が開いた。

ガラガラガラ

おばあちゃん「まぁまぁ、慎吾さん。よく来たね〜。あかりちゃんも元気〜?」

お父さん「こんにちは。いまお墓参りに行って、こっちに来ました。」

おばあちゃん「そう!良子も喜んでるわ。」

ここは、お母さんの実家だ。つまり、わたしのおばあちゃんとおじいちゃんが住んでいる。

おばあちゃん「あなた!あなた〜、慎吾さんたちが見えましたよ〜。」

奥のほうに、おばあちゃんが大きな声で呼びかけた。

すると、しばらくして、ゆったりとした歩みで、おじいちゃんが出てきた。

ガチャ

おじいちゃん「ああ…、いらっしゃい。」

おばあちゃん「あなた…、それだけですか?まったく…、困った人ね〜。さぁ、上がってちょうだい。」

お父さん「はい…。失礼します。」

おじいちゃんは無口な人だ。

いつも、どこか怒っているような感じがする。

それでも毎年、こんな感じでわたしたちを迎えてくれる。