転んだら死神が微笑んだ

あかり「ふぅ…。」

お母さんにだいぶ話をした。

いままで、なんか暗くて冷たく見えていたものが、太陽の光を浴びて、明るくて温かく感じる。

たしかにそこには、お母さんがいた。


お父さん「ずいぶん長いこと、お母さんと話をしたみたいだな。あかり。」

お父さんは、やさしくわたしのことを見守ってくれていた。

お父さん「じゃあ、行くか。」

あかり「うん。」


線香の漂うお墓を後にして、わたしたちは街のほうへ向かった。

さっき通った道をふたたび歩き、自動車道のところまで出ると、そこからタクシーを拾った。

タクシーが走るたびに、窓から見える景色はだんだんと変わっていく。

少しづつ民家が増え、いろんなお店も見えてきた。

自動車の走っている数もさっきとは全然違う。


お父さん「はい。ここら辺で結構です。」

お金を払って、タクシーを降りる。

着いたのは、ちょっとした住宅街で、古い瓦屋根の家がほとんどだ。