転んだら死神が微笑んだ

ミキ「ウチにそんな子いたっけ?」

かなえ「さあ?もし、いたら結構有名なはずだよ?」

ミキ「だよね?車なんて見たことないしさっ。高等部の先輩かな?」

かなえ「ね〜?あかりも知らないよね?」

あかり「う、うん。知らない。」

本当は誰のことかわかった。

わたしも車がとまってるところは見たことがないけど、寿明君の説明で、ある一人の女の子の姿が目に浮かんだ。

そう、それはたぶんひよりちゃんのことだった。

わたしが最初に受けた印象とまったくおんなじ説明をしていたから。

寿明「でも、最近見ないな〜。どうしたんだろ?」

貴志「夢でも見たんじゃね?」

寿明「夢なもんかよ?何百回見たと思ってんだよ?!」

貴志「俺も、『校門の前に高級車』なんて、何千回と見てるけどな…。」

結局、その謎の美少女の話は、手がかりがまったくつかめず、清女の七不思議のようなものの中に収められることになった。

お…同じクラスなんだけどね。

ミキ「でもショックだな〜。寿明君って、そういう子がタイプなの〜?」

ひよりちゃんの話題が終わりをむかえたとき、ミキはがっかりそうにテーブルを指でなぞっていた。

寿明「でも、俺、ミキちゃんみたいな子も嫌いじゃないよっ!」

ミキ「ホント〜?嘘でもうれし〜!」

寿明君のその言葉に、嘘とか言いつつ、それでも子どもみたいにうれしそうに笑っていた。