転んだら死神が微笑んだ

かなえ「貴志君は?」

貴志「え?…いや、俺は〜…一人っ子だよ。」

かなえ「そっか〜。」

あかり「いたら、こんな無愛想にはならないんじゃないの?」

貴志「お前ちょっと表にで…」

ミキ「まぁまぁ、そこが貴志君のいいとこなんだから。あかりは?あかりは誰かいるの?」

あかり「わたしも一人っ子だよ。」

貴志「だから、そんなに根暗になるんだよな?」

あかり「ちょっと…」

ミキ「じゃあさ〜、兄弟が欲しいって気持ちわかるよね?」

あかり「え?」

ミキ「一人より、にぎやかなほうがよくない?」

あかり「う…う〜ん。まあね…。」

確かに、一人は寂しいと思う。

それは、いままでどんな場面でも感じることだった。

でも、何でなんだろ?

だからって、それで兄弟が欲しいなんて思ったことはなかった。

やっぱ、変かな?わたしって。

ミキ「貴志君も思うでしょ?」

ご飯をもくもくと食べていた一人っ子のタカシに、同じ質問がふりかかる。

貴志「思わないね。俺、一人でいいよ。一人のほうがよかった。」

くわえていたスプーンを離し、淡々と答えるタカシ。

しゃべり終わると、また皿に向かって食べ始めた。

ふ〜ん、タカシも兄弟が欲しいって思わないんだ。

かなえ「もぉ〜、どこまでクールなの?」

寿明「何だよ?貴志っ。いつもは、もっとバカみたいに騒いでんだろ?」

貴志「…お、おう。」

かなえ「だってさ〜、彼女の前だもんね〜。カッコよくしとかないとね?」

あかり・貴志「だから、違うって!」

思わず、声がそろう。

声がそろってしまったばっかりに、周りの見る目がますますあやしく映っている。