転んだら死神が微笑んだ

貴志「え〜と。」

寿明「どれどれ?」

男の子たちは、一つしかないメニューを広げて、何を頼もうか考えていた。

でも、なんかその様子は変で、メニューを開いた途端、タカシが固まっていた。

貴志「(ね、ねぇ。ここ高くない?)」

寿明「そう?割とフツーだと思うけど?」

貴志「(いや、オムライス2000円とか、マジありえねぇって。)」

寿明「え?何が?」

いちご「(あれ?いけなかった〜?)」

貴志「(いちごっ!『お手軽な店』っつったろ?)」

いちご「(僕的には結構安いな〜って思ったから、ここでいいと思ったんだけど〜…)」

貴志「(はぁ〜。)」

寿明「あきらめろよ。俺らにとっちゃあ、貴志のほうが特殊なんだから。」

どうかしたのかな?

男の子たちがメニューの陰に隠れて、ヒソヒソと何か話している。

唯一声の大きい寿明君の会話だけ拾って聞いても、何の話をしてるのかさっぱりわからない。

メニューから見え隠れする寿明君の髪の毛が、まるで一風変わった人形劇がはじまるかのように見える。

はぁ〜、お腹すいたな〜。