転んだら死神が微笑んだ

貴志「じゃあ、お店の中に入りましょう。」

男の子1「『入りましょう』って〜、固ぇ言い方すんなよ。もっとフランクにいこうぜ!フランクに。」

貴志「おい!」

ミキ「いいから、いいから。いつまでも敬語なんてのもシラケるし。」

貴志「あ、ああ。」

わたしたちは、二階建てのレストランの中に入った。

二階に上がると、全面ガラス張りで、下の街の様子が一挙に見渡せた。

あかり「へぇ〜。」

街を見下ろすなんてことは、あまりしたことがないから、すごく感動していた。

実際よりも小さく見える人や車をみると、なんかちっぽけで、わたしが考えているようなことなんて、ほんとささいなことのように思えてくる。

貴志「いいだろ…。ここ。」

あかり「うん。」

男の子1「まったく、もうちょっとおしゃれな店はなかったのかよ。」

貴志「えっ!?」

男の子2「まぁまぁ、ここは僕が探したんだよ〜。貴志クンが『お手軽な店』っていうから、がんばって探したんだから。」

男の子1「お前も変わってるよな。女の子を誘うのはもっと高級な店のほうがいいんだぜ。そのほうがコロッとくるし。」

貴志「お前誰だよ?」

かなえ「ね〜!自己紹介しようよ。いつまでも、名前知らないってのも変だし。」

男の子1「ああ!そうだよね〜。ゴメンね!じゃあ、座ろう。」