貴志「しかし、お前も女だってことだな。」

あかり「それって、どういう意味?」

貴志「合コンにそんなカッコしてくんだから。」

あかり「ん?」

顔のところに手を持ってきて、何かから身を守っているタカシだったけど、何も起きないことを悟ったのか、その手を少しガッカリした感じでゆるく下げていた。

手が下がり、その顔が見えると、タカシの顔はいよいよ未知の生物でも見るかのように、ひきつっていた。

あかり「どうしたの?」

貴志「い…いや、俺がまだ甘かった。あかりもちょっとは合コンとか期待してるのかと思って…。」

あかり「期待はしてるよ。」

貴志「そ、そうなの?!」

意外だとでも言わんばかりの、驚きの顔。

貴志「なんだ〜。やっぱ彼氏とか欲しいか?」

あかり「は?何言ってんの?そんなんじゃな…」

やっとわかった。

コイツが皮肉った意味が。

あかり「わたしが!そんな理由でいちいちおしゃれするのがっ!いけないわけ!」

バシッ


バシッ



バシッ

何回もコイツを叩いた。今まで、なんかできなかったぶんも含めて。

貴志「いてっ!いてて!だって、いいカッコしてるからさ〜。」

あかり「べつにそんな理由で、おしゃれしてるわけじゃないからっ!」

貴志「じゃあ、何なんだよ?合コンの日に、普段着てないブランドものを着る理由は?!」

ブランド?

あかり「ブランド?」

貴志「おいおい?冗談はやめろよ。今若い女の子に流行りの有名な服身にまとっといて、知りませんとかはナシだからな〜。」

へぇ〜、そうなんだ。


…。



これって、そんなにいい服だったの!?

だって、知春さんだって、そんなに高くないって言ってたし。店員さんも気さくな感じで…。

これじゃあ、わたしはまるで『合コン気合いいれてまーす』って宣言してるようなもんじゃない!?

で、でも余計そんなことを否定したら、コイツはそれを悪魔の笑顔でおちょくってくるだろう。

ここはひとつ、賭けに出よう。