転んだら死神が微笑んだ

子安「サカグチさん。あなたはこれから有名になる。それくらいのことで、びびってちゃあいけませんよ!ガッハッハッハ。」

女の人「おっほっほっほ。」

サカグチ「は…はぁ。」


あかり「えっ?」

わたしは、思わず後ろを振り返ってしまった。

あの偉そうなおじさん、今、『サカグチ』って言ってなかった?

どっかで聞いたことがあるような感じがする。

子安「坂口康博。この名前を、日本中の人が口にするような日が、もうすぐそこまでやって来てるんですよ。坂口さん。」

坂口「まだ実感がわきません。ハハハ…。」

『サカグチ ヤスヒロ』。

すでにわたしはこの名前を知っていた。

そうだ。あの山田のおじさんが口にしていた。

あの名前だ。


知春「どうしたの?あかりちゃん。」

あかり「いや、ごめんなさい。」

わたしは、急いで車に乗り込んだ。

あれは、てっきり夢だって思ってたから、まさかホントに実在するなんて思ってもみなかった。

わたしは、すごくドキドキしてきた。

あの時の夜に感じた、あのドキドキだ。

少し忘れかけていた記憶が、徐々に蘇ってくる。



山田『サカグチヤスヒロ…。顔と名前だけじゃな。本当にコイツが、やっているのか?』

山田『マヌケそうなツラしてやがる…クックック。ああ、ああ、大丈夫だ。任せとけよ。必ず、殺してやるよ。そのために俺がいるんだからな。』



あの時の、おじさんの冷たい顔。あれは、本当の顔だったんだ。