転んだら死神が微笑んだ

空港は人が多く、ざわざわしていて、誰がどこにいるのかなんて、到底わからなかった。


知春「もしもし。僕です、知春です。今、空港に着きました。……ハイ。…わかりました。待ってます。」

ピッ


知春「あかりちゃん。親父たちと連絡とれたから。あっちのほうで待っていればいいから。」


あかり「はい。」





上の階の隅にあるベンチに座って、わたしたちは待った。


知春「あれから、大変だったんだから〜。」

あかり「あれから?」

知春「あかりちゃんが走ってった後、家に入ったらさ、日和のヤツが泣いてんの。『あかりちゃん、あかりちゃん』ってさ。そんとき、初めてキミの名前だってわかったよ。」

あかり「やっぱり…。」

知春「誕生日パーティーは中止。」