足りない気持ちと不安定な気遣い。
丁度昨日もこんな感じだった。

「だって早瀬ちゃん違うでしょ?」

先輩の言葉がどんどん突き刺さってくる。
さよならって言えなくて、
会いたいって言えなくて。

「じゃあね」

不器用すぎた、私達。


 LOVE IDIOT
  拘束と不安


「あぁ、三年の柴崎・夏先輩のこと?」

「誰?」

その柴崎さんという人は髪が茶色で短く、ストレート。
後ろに髪を少ししばっていた。

まさに男前と呼ぶべき姿だと、私は思う。

「陸上部と現ソフト部の部長なんだってー、凄いよね!」

「・・・」

「どしたの?」

「いや・・・」

よく見るとマスカラぐりぐりにつけてる、けどそんな違和感が無い。
涼のすぐ隣に立ってて、同じくらいに背が高い。

なんか、圧巻。

「・・・ぁあ、もしかして嫉妬!?」

「へ、えっ!?ち、違う違う!!ただちょっと気になっただけ!」

「え〜?なんか宮比焦ってるよ〜?」

「あ、焦ってないって!!」

まぁ、確かに少し驚いたけど。
そこまで気にしてるわけじゃあない。

ちょっと・・・びっくりしただけ。

「でもさぁ、あの二人」

「ん?」

「結構、お似合いじゃん?」

「お似合いって・・・」

私はチラっとまた二人に目を向けた。

・・・凛としてて、かっこいい。
腕もソフト部部長だけあって、ちゃんと筋肉がついている。
すらっと長い足、ハイソックスは履いていなくて足首までの短い靴下を履いていた。

「・・・」

なんとなく、その姿に私は圧倒された。

新鮮という言葉が合う人で、もの凄く綺麗だった。

・・・本当にお似合い。

「宮比?おーい宮比!」

「え、えっ??」

「不安?」

「な、なにがさ」

「いや、いつも自分が佐山先輩の隣にいたから。急に知らない人がいると、取られるみたいって感じで?」

「そ、そこまで思ってないよ!!」