体育倉庫では校長先生の声が聞こえた。
またあの長い説明を聞くのだと思うと・・・

・・・このままサボるってのは駄目だよね?

「(失礼しま〜す・・・)」

私はゆっくりとドアを開ける。
急に温かい空気が私を包み込んだ、あっつ。

「(どこにいたら良いかな・・・?)」

すると、

「宮比っ!」

「(え?)」

どこからか小声で私を呼ぶ声が聞こえた。
華?

「こっちこっち!」

「!(あ、やっぱり華か)」

華は周りのみんなにバレないように私に手を振っていた。
私も華に合図してみた。

「(ここ空いてる!)」

「(今行くっ)」

ちょっと小走りしてみんなの後ろを通って華の列まで行った。
腰はなるべく低めにおとす。

「なにしてたの宮比!」

「ごめん、遅れちゃった」

「もうすぐ終わるよー?」

「マジ?(やった)」

うちの学校は毎回、一学期始まるごとに始業式をする。
ホント、めんどくさいんだこれが。

「えーでは、これにて各クラスの担任の先生方、共に生徒達はクラスに戻る事!」

相変わらず分かりやすいカツラをかぶっている理事長。
そして坊主の校長。

「今学期も楽しく過ごしましょうね、以上」

校長先生が上手くまとめると、私達は外へと出た。
涼しい風、気持ちいい。

「宮比が来る前は大変だったんだよ!?校長話長いし!」

「そうだったんだ」

「しかも理事長ツバ飛ばしてたしっ」

「(汚いな理事長)」

そういや涼は・・・

「(ん?)」

涼を探してみると、二年の先輩達の周りに一人涼は涼しげに歩いていた。
でも、誰かと話してるみたい。

この角度からじゃ見えないなぁ・・・

「(見えないぃぃぃ〜・・・)」

そこには。



「っはよ涼!」

「あ、先輩」



「!!」

全く、全然知らない女の人がいた。
真隣に。

「ねぇ、華・・・」

「ん?」

「あの、涼の隣にいる女の人って誰だか分かる?」

「え〜?どこどこ?」

「あそこ」

私は涼がいる場所に指差した。
未だにあの女の人はいる。