澄んだ瞳に





食事中、昔話に花が咲き、楽しそうに話をしている。


みんな、笑ってる……


私だけ、話題には着いていけない。


お兄ちゃんと淳の関係……友達。


いつから?



パパもママも矢崎さんのことを、知っている。


それも、随分前からのようだ。



淳も、何も言ってくれなかった。



私だけ、何も知らない。



私一人、蚊帳の外……



そう思ったら、何だか急に虚しくなって、涙が出そうになった。



「ごちそうさま……」


と、言って、箸を置くと、サッと立って、キッチンを飛び出し、階段を駆け上がった。



「澪? どうしたの?」


ママが言ったが、聞こえないふりをした。



そして、自分の部屋に入り、ドアをバタン!と締め、ベッドに伏して泣いた。




トン!トン!


ドアをノックする音。


「澪、どうしたの…?」


と、ドアの向こうから、ママの声がした。



私は、泣いているのを、気付かれないように、深呼吸をする。


そして、言った。


「何もないよ〜。朝からいっぱいお手伝いしたから、ちょっと疲れただけ。」



「なら、いいけど…お風呂に入って、早く寝なさいね。」


と、言って、ママが階段を下りて行った。