俯いたままの私………
今にも、涙が頬を伝いそうだった。
私が泣いているのを、矢崎さんに、気付かれることのないよう、唇を噛み締め、必死で、堪えていた。
赤信号で止まった時だった
矢崎さんが、私の方を見て言った。
「……どうした!?何黙ってんだ!?」
また、言い方がきつかった
「…………………。」
私は何も答えなかった。
何か喋ると、泣いていることに気付かれる。
「……澪?」
まるで別人かと思うほど、優しく包み込むような声だった。
しかも、私の名前を呼んだのだった。
私は、はっ!として、思わず、矢崎さんの方に顔を向けてしまった。
そして、矢崎さんと目が合ってしまったので、またすぐに俯いた。
矢崎さんは、私の目に涙がいっぱい溢れていたのに、気付いたんだろう…
車を路肩に寄せて、矢崎さんは、ハンドルに顔を埋めた。
そして
また、優しく包み込むような声で言った。
「澪……」
「泣いてんのか…?」
「…俺の、せいだよな…?」
「俺が澪を泣かせるんだよな…?」
「俺は………」
矢崎さんは、自分で自分を責めているようだった。
そして、
「俺は、お前のことが、好きだ。」
「………えっ?」
私は、自分の耳を疑った。
ずっと、俯いて聞いていたが、ハンドルに顔を埋めている、矢崎さんの方に顔を向けた。
