「ねぇ、澪、あの人に電話してみなよ……?」
「え〜〜〜っ。ぃやだよ……。」
智香は、急に何を言い出すの?
一体何を考えてるの……
そんなことを思っていた私をよそに、智香は次の行動に出た……
「澪、あの人からもらった名刺、今持ってる?」
「……えっ…?持ってるけど……。」
そんなの聞いて、どうするんだろ……
「見せて…?」
「どうして…?」
「いいから!早く!」
智香に急かされ、鞄の中から手帳を取りだし、一番後ろに挟んであった、名刺を取り、智香に渡した。
例え関係ない人からもらった名刺でも、名刺を捨てるということが、出来ずに持っていたのだった。
え―――――っ
ち、ちか、何してるの……
時は既に遅しって、このことだ……
智香は、名刺を見ながら、電話をかけていた……
ピッ、ポッ、パッ、ポッ、ピッ…………
プルルー…
プルルー…
カチッ
『ただいま、電話に出ることが…「もしもし……?」
「あっ、もしもし、恐れ入りますが、矢崎淳さんでしょうか?」
「……はい、そうですが……?」
「あの、私、井上智香と申します。あの、先日、危ないところを助けていただいた……」
「……あ〜…。」
「あの時は、ありがとうございました。あの、ちょっとお待ちください。」
「………あ〜。」
智香が、私に電話に出てというように、携帯電話を差し出した。
「……い、ぃやだよ…」
「いいから!早く!早く」
嫌がる私に、智香は、携帯電話を私の耳に、ピッタリとあてた。
