車が発車すると、すぐに智香が、声をかけてきた。
「澪、おはよう…」
私は後部座席の方に、体を向けて、智香に言った。
「おはよう、智香」
あれ?
智香との距離が少し遠いような気がする…
あっ、車だ…
いつも淳が乗ってる車じゃない…
いつもは、オープンタイプのもので、今日のは、ワンボックスタイプだった。
「淳、いつもの車じゃないんだね…」
と、私は淳に聞いた。
すると、淳は言った。
「あ〜…いつものだとボードが積めねぇから…」
「……ボード?」
「あ〜…悠哉と久々にやろうと思ってな…」
「…ふ〜ん……」
「その返事の仕方は、ボードって何?って思ってんだろ?」
当たりです!!
「サーフボードのことだ」
お兄ちゃんも、よく海に行ってたみたいだった…
さっき、淳は久しぶりに、お兄ちゃんと…って言ってたから、きっといつも一緒に行ってたんだろうと思った…
さっきから、車にばかり、気を取られていた私だったが、よく見ると…
淳、カッコいい〜…
サングラスなんかかけちゃって……
少し伸びたアゴ髭……
Tシャツの袖口を肩のところまで、上げたりなんかして……
二の腕の筋肉が、引き締まっていて…
いつもと違う雰囲気の淳に見とれてしまう…
サングラスの隙間から、私の方を、チラッと横目で見ていた淳と一瞬目が合った
あっ!!
いつかみたいに、淳に突っ込まれちゃうよ……
そう思っていた私に、淳は言った。
「俺は、毎日カッコいいんだって言ったろ……」
っ―――――――!!
言ってくれますね〜……
はい!はい!
そうですとも…
毎日カッコいいですよ…
それは、認めざるを得ない
「澪、返事は?」
「……はい、淳はカッコいいです……」
無理矢理言わされた私だったが、顔が真っ赤になった
