ザーーー……

ビシャビシャ

雨はどんどん強くなって、地面はぬかるんできた。

ハンドルも重い。



まずいな……。



俺は担当からの電話を切った後もひたすら車を走らせ続けた。

特に宛てがあったわけでもないが、後戻りすることもできなかった。

それは山道に限らず、俺の作家生命も同じこと。



そうだ、後戻りは出来ない。



ハンドルを握る手に力を入れたその時、



ガリッ!



車が何かを踏みつけた感覚がした。

多分低い岩か何かだろう。

だが、ぬかるんだ山道で体制を崩し、ハンドルを取られた車はそのまま思ってもいない方向へと進んでいった。



ザザザザ……ッ!



俺はそのまま山を滑り落ちていった……。