暫らくたったある日の夕方‥珍しくバイトが早仕舞の真帆
「ねぇ‥今日、うちに来ない?お姉ちゃん‥旅行にいったし」
「う?‥そう‥お母さんは?」
「母さんはいるわよ‥?何考えてるの?!」
「真帆の部屋でしてみたいって思ったんだ‥ この前の事思い出して‥」
「それもいいかもね‥なんて嘘。お母さんがご馳走したいんだって」
「うん、行こう」

「ただいまぁ」「お邪魔します」
「お帰り‥いらっしゃい」
「あ~あ、疲れた‥お風呂入るぅ」
 真帆は、お風呂に入った。食卓へ
「座って」
 じっと俺を見つめる母親‥
「どうかしましたか?」
「ああ、御免なさい‥なんとなく、あの娘が貴方に引かれた訳が解った気がしたの
 あの娘の父親と貴方がよく似てるの‥顔とかじゃなくて雰囲気がね‥小さい時に別れたから、全然覚えてない筈だけど‥
 優しくて、頼れて、決して声を荒げない‥ふふふ‥思い出は、美化されるのかなぁ‥本当、いい人だったよ
 山岡さんを見て、若かった頃を思い出しちゃった」
「そうなんですか?お父さんは、生きておられるですか?」
「‥たぶん‥実は、解らないんです‥一人で山登りに行ったきり‥十五年も帰らないんです‥あの子には離婚したって事にしてるけど‥小さい頃からいつか父さんにあいたいって言ってた‥あの子の夢を壊したくはないからね」
 上気した顔で
「愛してられたのですね」
「ええ‥今でも
 将さん、真帆を頼みます。あの娘は貴方に夢中なんです」
「きっと幸せにします」
「まーちゃ~ん(;_;)嬉しいよ。お母さん、私幸せになるからね」
「あんた何泣いてるの?」
「お母さんだって」
 居づらい俺
「さ!ご飯を食べよう!お口に合うかしら?」
「頂きま~す」