小さな部屋の中
「今の真帆さんですが、予断を許さない状態なのです‥懸命な治療を施しておりますが」
「いつになったら目を覚ますのですか」
 暗い顔の医者は首を振った
「それは誰にも解らない‥これが現実です」
「なんとかして下さい‥」
「‥解りました‥来て下さい‥知ってる声を聞かせたらひょっとしたら」
医者に促されてICUへ
管と電極に繋がれた真帆
「真帆?聞こえるか?どうしたんだよ?元気ないね
 ほら‥お母さんもいるよ‥答えられないのなら聞くだけでいいから
 早くよくなってさ、三人でピクニックに行こうか‥三人目は赤ちゃんだよ
 きっと楽しいからさ
 真帆がおっぱいあげてるのを横目で見ながらフライドポテトをかじるんだ
 ちょいやきもち妬きそうだけどな
 赤ちゃんじゃ勝てないなぁ‥だから早く目を覚ましてくれよ」

 次の日も目覚めなかった
 その次の日
「‥だからさぁ俺は真帆の側にいるからさ‥好きだよ」
「‥わたしも‥好き‥だ‥から」
薄目を開けた
「真帆ぉ!真帆ぉ!先生を呼んでくるからな」