あの日
耐えられないほどの頭痛に苛まれていた…

次の朝
「真帆ちゃん…落ち着いて聞いて…旦那さんが再び昏睡状態でICUに収容されたの」
「えー!何でぇ!そんなぁー!大丈夫って言ったじゃぁん!」
「医師も全力を尽くしてるわ!さ!支度して」

ICUの前で
「私が見てくるから…真帆ちゃんはここに…」
中野看護婦(たかこ)は中へ消えた…

ベンチに腰掛けた真帆は不安で手を握りしめたまま

「真帆ちゃん…落ち着いて聞いて…旦那さんは外傷性くも膜下出血で…微妙な状態なの」
「何で!!何でぇ!!」
真帆は叫んだ
「落ち着きなさい!医師の手当はすんだから、今は祈る事しかないから‥真帆さん!泣いてる暇なんかないよ」
看護婦失格の私‥必死に祈る真帆ちゃんを見てたら、あんな言葉しかかけられなかった‥
「解った‥まーちゃんは真帆を置いてどこにも行かないね(^-^)絶対!」
「そうだよ‥真帆ちゃんの旦那様だもん」
私は失格看護婦だ‥今の山岡さんの状態は危篤‥その事は絶対に知らせる訳にはいかない‥目をつぶり両手を握りあわせてる彼女には言える訳がない
「まーちゃんは元気になる!元気になる」
たまらなくなった私は顔を背けた
看護婦は泣いてはいけない‥心にいいきかせても駄目‥病院は人の亡くなる所‥いちいち感情移入してたら体が保たないよ‥先輩看護婦の言葉‥でも、こんな時は我慢出来なくなる
涙を拭いて振り返る。真帆ちゃんは必死の顔でICUの入り口を見つめている‥