『…おがわさん?』 突然呼ばれて、私は驚いて振り向いた。 一人の男子生徒が立っていた。 怖ず怖ずとこっちを伺っている。 『おがわさんだよね?』 もう一度聞き直す彼。 良い声してる…。 『…うん。私、小川だけど…』 何で知ってるの? 疑問を抱いていたけど、それは速攻で解決した。 『落としたよ。』 彼が差し出したのは一個の名札。 《S・OGAWA》 あっ…本当だ。 私のだ。 私は受け取るために彼に近づいた。