あたしも、教室に向かって走り出した。

陸上部でよかった、と思った。

ガラッッ と、息を切らしながら教室のドアを開けた。

するとそこには…

狭山 深雪を取り囲んで、琉璃と愛弓、そして陽菜廼が立っていた。

「ドコ行ってたのー?」

ニコニコと笑いながら、陽菜廼が狭山 深雪に問いかける。

だが、その笑いは、とても冷たいものだった。

「逃げたんだろ?そーだよな。」

皮肉な顔をして、愛弓が聞いた。

「……えっと…」

狭山 深雪は、黙っていた。ただ、答えられなかったのかもしれない。

「…えっとじゃなくてー、答えが聞きたいの。分かる?
 アンタはクズなの。あたし達に歯向かったらぁ…」

ガラリ と、ドアが開いた。先生が来たのだ。

「チッ…」

琉璃達は、舌打ちを残して席に着いた。

あたしは、どうしてかわかんないけど、ホッとした。

狭山 深雪がいじめられるようになったキッカケ…

それは、「X」からの予告状のせいだった。

この学園には、普通生徒から依頼を受けて、邪魔者を排除する組…

「0-X」組が出来た。その組には、選ばれた生徒しか入れない、という決まりがあった。

きっと、うちのクラスの誰かが、「X」に依頼したんだ、と思った。

「X」は、「0-X」組のボス。全体的に命令する人。

理事長も頭が上がらないほどの人物らしい。

ある日、Xからの灰色の札…通称「灰札」が、狭山深雪の机に張られてた。

その日が始まりだった。

その日から、みんなが狭山深雪をいじめるようになった。

机には落書をし、椅子は屋上へ持っていった。

上履きにも落書、蹴る、殴る、暴言など、さまざまだった。