「イオリ、帰ろー」
ホームルームが終り、ハルがあたしの所へ来る。
いつもと変わらないハルの態度にあたしは安心した。
うん。
さっきのは深い意味じゃない。
大丈夫。
何も変わらない。
カナエが何か言いたげにこっちを見たけど、あたしは「言うな」オーラ全開で
「カナエ、バイバイ」
ニコッと笑った。
「あっちーな。
ノド乾かねぇ?」
「だね」
手をパタパタさせながらハルが言った。
「奢ったる♪」
「わーい」
そう言えば、ハルにいっつもコーヒー奢ってもらってばかりだ。
「あ、その陰で待ってろな?」
「………うん」
ハルは自販機へと走って行った。
こんな小さな優しさも
きっとマナ先輩といたからなんだろうな。


