「俺はイオリじゃないと嫌だ。
イオリが好きなんだ」
「ハル………」
「解った?」
あたしは頷く代わりに
ハルの胸に頬を当てる。
少し早いハルの鼓動が
ますますあたしの胸を熱くした。
「ハルが
好きだよ……」
そう呟くあたしを
ハルがそっと抱きしめてくれた。
―――好き
たった二文字の言葉なのに。
その言葉を言葉として発するまで
何度、ハルから目を反らそうとしたのだろう。
何度、ハルから目が離せなかったのだろう。
何度…ハルに恋をしただろう。
――――好き
それがすべて
それしか
なくて。
なんで?
どうして??
理由なんて解らない。
理由なんか要らない。
あたしはハルが
好き――――……


