「マナ先輩がどうとか、そんなんじゃないから」


「でもっ!
あたしが二人を見たって言ったからだよね!?」


そう言って今度は辛そうな顔になる。


ああ…カナエごめんね。


ずっと悩んでたんだよね?


あたしは笑顔で頭を左右に振った。


「カナエは何も気にする事なんてないの。

…これは最初から決まってた事なんだから」


「え…?決まってた…って…?」


本当の事を言わなきゃカナエはずっと悩み続けるだろうから…

あたしはゆっくりと話し出した。



「あたし達はね……
“契約”してたんだ。

恋人の……契約」



「け…いや…くっ!?」


カナエはわけが解らないと言う顔をする。


「そう。契約。
あたし達はお互いを利用してたの」


利用――――


そう。


ただそれだけの関係だったんだ………