「奢ったる♪」
「わーい」
こんな他愛もない会話が嬉しかった。
「あ、その陰で待ってろな?」
「………うん」
やっぱりまだ日差しは強い。
俺は急いで自販機まで走った。
いつも俺がイオリに買うのはブラックのコーヒー。
そーいやいっつもコーヒーだよな…
前、イオリに同じくコーヒーを奢って、俺が林檎ジュースを買った時、
『普通、そっちがあたしでしょー!?』
って言ってたっけ(笑)
あの時は『イオリには似合わない』とかふざけたりして…
いや、俺の方が似合わねぇか…(笑)
ガコン
俺は林檎ジュースを二本買ってイオリの所へ戻った。
「…これ?」
案の定、イオリに聞かれた。
「……あ、ボタン間違えて…」
…ってコラ、違うだろ。
そーじゃないだろ。
だけどやっぱ恥ずかしくて言えねぇよ…
その林檎ジュースがマナの好きだった飲み物だなんて
すっかり頭になかった。


