「ハル!勝って……!!」
イオリの声が胸に響く。
『伊織』と書かれた俺のハチマキが風になびいた。
らしくねぇって思ったけど
ほら…世間的には恋人だし。
書いてないとおかしいだろ?
なんて
本当は
言い訳。
どこかで
俺の………って
言いたかったのかもしれない。
ダッセぇ。
マジダサいって、俺。
ヘタレもいいとこだ。
俺はそんな考えを吹っ切るように
試合に集中した。
イオリが見てるから
ここは勝つしかないっしょ。
「おし!!」
だから
その瞬間だけは
俺の為に笑ってよ。
「ハルー……!!」
俺の中に
確かな想いが
芽生え始めていた。


