【短編】ダンナの浮気に盛る薬




「…これ」


いつも

無口なあなた

一言

つぶやくと

水色のリボンのついた

白くて小さい紙袋を

私の目の前に差し出した


「あの日は

それを選ぶのを

手伝ってもらってたんだ」



何も言えずに

袋を受け取る

中身は

ハート型の

小さなピアス


自分でも

気づかないうちに

涙があふれていた



そういえば

泣いたのなんて

何年ぶり?