「えっと、オレは太田聡。で、こっちの…痴漢野郎が右田圭介さん。」





「太田君まで…ひどいです。」





右田さんはまだうずくまっている。





「じゃあ、聡に圭介、頑張って稼いでね。」





由佳はそう言ってウィンクする。





やっぱ、かわいいなぁ。





「じゃあとりあえずバイト終わるまで、由佳は仮眠室で待ってて。」





オレは右田さんの背中を叩きながら、仮眠室のほうを指す。





「は〜い。」





由佳は仮眠室のほうへ歩いてゆく。





「あれは悪魔ですね。」





右田さんがぼやく。





「なんか言った?」





由佳はこっちを振り向く。




「なんでもないよ。由佳ってかわいいなぁって言ってたんだ。」





なんとか取り繕う。





「お世辞よりお金よ、お金が欲しいの。わかった?」




「仰せのとおりに。」





由佳は当然でしょと言わんばかりの表情を見せ、仮眠室へと入っていった。