真重は戻っていなかった。
私はアパートの玄関のドアに
座り込んで
叩きつける雨を全身に受けていた。


雷が頭の上を通り過ぎるたび
耳をふさいだ。



そのうち眠気が襲って来て
私はそのまま眠ってしまった。



「桃、桃……」

懐かしい声
忘れていた翔の声が
私を揺さぶる。


「風邪ひくぞ」


「マジュを傷つけたの。
だから雨に叱られてる……」


翔は私を抱きよせた。


「寒い……」


ガタガタ歯が鳴った。



「バカか・・・・・」
目をうっすらあけると
翔が
真重に変わっていた。