春の足音が近くなったころ
真重は完全ではないが
一通りの体の回復が
退院を決めた。


苦しいリハビリだった。
真重は心の変化があったのか
すこし開き直ったような
気がした。


葛藤は続いてはいるだろうが
もう時間がないことも
悟っているから
この世界での
真重をどう飾るのか


ある意味
私にとっても重要なことだと
思うようになった。


そんな時
元哉と偶然学校帰りに会った。


元哉の制服姿は
まるで翔だった。


 いまと制服同じなのね



翔のいる世界にワープしたような
錯覚を覚える。


 翔に会えたら
 それは真重との別れ・・・・
 この記憶との別れ・・・



元哉はさわやかに微笑んだ。