車イスに乗った真重の前に立つ。


「おつかれさま。」


「いつからいたの?」


「歩行訓練から見てた。」


「参った。ぜんぜんうまくいかない。」


「うん。いかなかったね。」


車イスを押した。


「ねぇ……信じてるから
私たちの明るい未来・・・・
やりとげて
お互いの望むものを手にすること。」



「おまえさ……」
真重が何か言いかけて

「いや…いい……。」
そう言って横を向いた。


 記憶戻ってる……



「なに?変だよ。
なに迷ってるの?」


真重は顔を上げなかった。


私は真重の前に回った。



「今までの私たちを忘れないで。
私たちは一生懸命生きてきたよ。
ここに嘘も後悔もない。
私はまっすぐだよ。
あとは、信じてその時を待てばいい。」


私は真重の顔を見つめた。