「ちょっといいかな」

廊下でさっきの医者に会った。


「はい・・・」


「真重くん、頭の手術をしたんだ。」


「え?」


「最初の病院を脱走したとき
よくこんな体で……って
状態でね。
奇跡に近かったな。」


「どこで?
どこにいたんですか?」


「兄弟のとこだったな。
すぐに父親が発見して
うちの病院に運んできたんだ。
なぜ、転院させたかは
今は話せないけどね。」


 やっぱり
 あいつに会ったんだ・・・・


「頭をかなり殴られてて
脳の中で出血していた。
うちの脳外科の先生を呼び出して
緊急の手術をしたんだ。」


 そんなに・・・・


「麻酔で意識失うまで
マサ代、ごめん。マサ代、ごめん。
そう言い続けていた。」


涙があふれでた。


「君と兄弟の中で何かが
あったんだね・・・?」


私は素直にうなづいた。


「かわいそうに……」


「だから、彼には会えない。」
私は顔を覆った。