私は家が近づいて
何度も何度も笑う練習をした。

心配させられない。


「まにょ!!」
美雪が店の前の電柱から
姿を現わした。


 ママ・・・

「ごめん、今は部屋に戻るまで
何も聞かないで・・・」


美雪はしっかり私の手を
握りしめた。

「泊まってもいい?」


私は大きくうなづいた。


「ただいま~~」
美雪の揃った大きな声に
助けられた。


母が玄関に駆け出してきた。


「ね、何かあった?
柴田くんと平川くんから
交互に帰ってきたかって
電話が来てるのよ。」


 答えに困っていると

「私が待ち合わせ場所
間違っちゃって、
二人に会えなかったんです。
今日、急だけどお泊りしていいですか?」


母はほっとしたように
「もちろん、大歓迎よ」

と言った。


 ママありがと・・・・
美雪の機転に感謝した。