恋する背中をつかまえて



「桜井さ… どうして?」

「さて、どうしてでしょう」


あたしの目から
ポロポロこぼれて
もう止まらない涙を、
困った目で見つめている。


何とか止めようとしても
滲んできてしまうあたしに、
そっと頭を撫でてくれた。





「取り敢えず、こっち」


少し離れたところにある
エレベーターホールに向かうと
上の階に向かった。



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