恋する背中をつかまえて



隣には視線を真っ直ぐお父さんを見据えたまま、崇志が立ち尽くしている。



「ちょっとくらい、
こっち向いてくれても
いいじゃない?」


息を静かに吐き出すと、
観念したように新聞を閉じた。



「今更何を話に来た?」


相変わらずぶっきらぼうで、
痛いくらいの視線を
あたしに預ける。

負ける訳にはいかない。


あたし自身が一番欲しい未来を
手に入れるために。



「真面目な話…かな」

「…まぁ、座りなさい」


崇志に手を振り、
座るように促したのを見て、
ゆっくり畳に腰を下ろす。


視線の意志の強さは、
崇志も決してお父さんに
負けていなかった。



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