検査薬…って
なんだか後ろめたい。
何もいけないことをしてないのに
視線が気になっちゃうのは、
どうしてなんだろう?
ただ、
確かめたいだけなのに。
こんな小箱ひとつ。
買いに行くだけなのに。
…緊張するのはどうして?
「うん、それよ」
矢野さんは、手に持った小箱を
何もなかったかのように取った。
まるで確認するかのように。
無意識に俯きがちなあたしの
視線を捕らえて。
「大丈夫だから…ね?」
手には汗が滲む。
言葉では言い表せない緊張が
いつの間にか箱を湿らせる。
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