人の波に取り残され、 帰路に着く人々の表情を ゆっくり眺めていた。 傍らには大切な人。 家族だったり 友達や仲間だったり。 思い思いのスタイルで、 笑みを携える相手がいる。 どうしてこんなに たくさん人がいるのに、 あたしの大切な人は たったひとりなんだろう? 身代わりなんて 誰にもできない。 あの人の身代わりは 誰も要らない。 たったひとりの人。 .